【映画】恋のゆくえ/あらすじ・感想/The Fabulous Baker Boys
『恋のゆくえ』
一言でいえばこんな話
ピアノの演奏を仕事にしているジャックとスージーの兄弟に、女性ヴォーカルが加入したことで、騙し騙しにしていた現実が浮かび上がり、自分を見つめ直すことになる話。
原題は『The Fabulous Baker Boys』
舞台はシアトル。これぞ90年代のアメリカ!って映画
作品情報
公開年度 1990年
上映時間 109分
監督 スティーヴ・クローヴス
脚本 スティーヴ・クローヴス
キャスト
ジャック・ベイカー
ファビュラス・ベイカーボーイズの弟でピアニスト。 (ジェフ・ブリッジス)
スージー・ダイアモンド
ファビュラス・ベイカーボーイズに加わるヴォーカリスト(ミッシェル・ファイファー)
フランク・ベイカー
ファビュラス・ベイカーボーイズの兄でピアニスト。 (ボー・ブリッジス)
ボー・ブリッジスとジェフ・ブリッジス
ファビュラスベイカーボーイズは本当の兄弟が演じています。
あらすじ
ホテルのラウンジや、酒場でピアノを弾いて生計を立てている弟ジャックと兄フランクによるユニット「ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」。
ジャックのピアノの腕は素晴らしく将来を期待されていたが、現在は家庭持ちのフランクのためもあって、酒場のピアノ弾きの暮らしに甘んじている。
時代の変化で馴染みの店からの契約を切られたことをきっかけに、ヴォーカリストを雇おうとオーディションを開いたところに現れたのがスージーだった。
恋が中心の話ではないが
『恋のゆくえ』という邦題で、甘い恋の話を連想してしまうでしょうが、恋の要素もありますが、恋がストーリーの中心というわけではありません。
ベイカー兄弟はスージーの歌声に惹かれて一緒に仕事を始めますが、どちからといえば頑ななフランクと奔放なスージーは考え方が真逆ですぐに衝突してしまいます。
そんな二人を適当にあしらうジャックはプレイボーイで女を取っ替え引っ替えする日々。でもジャックはそんな暮らしにうんざりしていました。
スージーが加わったことで仕事は急に増えるようになります。スージーはエスコートレディで働きながら歌を続けてきた苦労人です。
いつも直球で表裏のない性格にジャックは惹かれていきます。
またスージーもジャックのピアノに魅了され、二人の距離は近づいていきます。
愛があるから別れることもある
でもスージーはライブを見た客からコマーシャルソングの仕事の話が持ち込まれ、スージーはジャックとフランクの元を去ることに決めます。
ジャックはそれを止めようとはせずに突き放します。スージーはジャックの冷たい態度に憤り、しこりを残したままスージーは去っていきます。
その後、フランクとジャックは喧嘩になってユニットは解散しますが、改めてフランクの元を訪れたジャックは、冷静な言葉でもう「ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」は続けるのは限界だと告げます。
「いつも演奏で、早く終われとそのことだけ考えていた。もう限界だ」と素直に伝えます。
フランクはショックを受けはしますが、薄々そのことには気づいていて、ジャックのトドメの言葉を待っていたところもありました。
実はジャックは以前からジャズピアノを隠れて弾いていました。
これまで兄のフランクのために合わせてきましたが、もう本当はとっくに自分の人生を生きなければならなかった。
フランクは現実を認めてジャックを自由にします。
「また会えるか?」
いつもシニカルであまりスージーに対して素直ではなかったジャックでしたが、最後にスージーの部屋を訪れます。
もう新しい生活を初めていたスージーでしたが、まだ気持ちはジャックにある。でももう戻ることはできません。
「また会えるか?」
ジャックはスージーに尋ねます。
「また会えるか?」ということは、もう暫くは会えないし、会うことはないという意味です。
エンディングのマイファニーヴァレンタインが切なくていいですね。
本当に短い時間だったけれど、心を通わせたあった三人が、バラバラの道を進むことになるのがしみじみと人生を感じさせます。
ジャックはスージーと出会ったことで、フランクと離れることを決意できました。
惰性で続けていることは相手にとってもよいことではない。
これ以上続けたくないのに自分の気持ちをごまかしながら現状を維持する方が楽だから、本心を隠すことは多いと思います。
おわりに
音楽が満載でとてもロマンチックな映画ですが、恋の話というよりは本質にあるのは、人生観でした。
ミッシェル・ファイファーのファッションの80年代感がすごい。
巨大なイアリングやビーズを縫い付けたミニスカートもバブル臭が漂っています。
ただミッシェル・ファイファーなのでギリギリのところで品があって、とびきり美しいのですが。
それでは最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
のじれいか でした。