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【ブルーバレンタイン】あらすじ と感想(ネタバレ)

ブルーバレンタイン

ざっくり言うとこんな話
平凡な男女が愛し合って夫婦になるが、結婚して6年が経過し、
相手への違和感に耐えきれずに別れを決める2日間の話。

愛って脆いものなのね。 

 

 

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作品情報・キャスト

公開年度 2011年
上映時間 112分
監督 デレク・シアンフランス
キャスト ライアン・ゴズリング、ミッシェル・ウイリアムズ 

 簡単なあらすじ

ディーンとシンディの夫婦は、娘のフランキーと3人暮らしだ。
シンディは産科の看護師として、ディーンは日雇いのペンキ塗りとして働く。
2人が出会ったのは6年前。シンディは医師志望の学生で、ディーンはフリーター。
ディーンはシンディに一目惚れ、シンディはボビーという恋人がいたが、自分勝手な態度を取られ気持ちは離れつつある。
2人は相手に対する新鮮さに惹かれて、愛し合うようになるもののシンディはボビーの子供を妊娠、ディーンはシンディの子供ごと受け入れる決意をしたのだが。

 


Blue Valentine (2010) Official Trailer - Michelle Williams, Ryan Gosling Movie HD

 

 

感想

あまりにもリアルで、見ていて辛くなりました。 
現実の世界に転がっている夫婦の心の変化を繊細に描いた作品です。

ディーンとシンディは互いに自分にはないところに惹かれあ愛し合うようになりますが、結果的にはその性格や価値観の違いが歩み寄りができないほどに互いの心に溝を作ってしまいます。


子供を預けてラブホテルい宿泊をしようとか話しをする2人の会話は超がつくほどの日常感。

始まりは恋だったことを忘れてしまいそうになるほどで、誰でも普通にしていることなのでしょうけれども、あまり人には話したくない夫婦の姿であったりするので、映画で観てしまうと生々しくて切なくなります。

「結婚と恋愛は別」いえ「恋愛感情だけでは結婚生活は続かない」いえ「愛が変化した先には破綻しかなかった」とでもいえばこの作品が説明できるでしょうか。

こういう男女は本当に多いと思うし、同じようなカップルは世の中にごろごろしていますよね。

超絶現実的に言ってしまうとシンディが妊娠していなければディーンとの結婚はなかったのかもしれないと思えてきます。

もし妊娠していなくても結婚したとすれば、そのときはお互いの感情がもう少し歩み寄っていたかもしれない。
それでも破局した可能性大に思えます。

感情がピークになったとき結婚してしまったのが、破局の元凶だったといえるのかも。恋愛にもある程度の成熟が必要ですね。

シンディがいつまでも定職に就こうとしないディーンに対して苛立つ気持ちはよくわかるのですが、自分の子供ではないフランキーを愛して大切にできるのはディーンのフリーダムな性格だからゆえ。

誰でもできることではないと思います。

シンディからすれば、本当の父親ではないのに父親になってくれたディーンのことを感謝してもしきれないはず。
それなのに「やりたいことはないの?」「才能があるのに」とおそらくディーンからすればあまり言われたくないことを上から目線で口にするシンディ。

でもその言葉の選ばなさというのか、妙な一体感こそが夫婦というもので、恋人との違いだと思います。

結局ディーンとシンディは同じ車に乗って人生を運転しているのに、目指す場所が違い過ぎてどうにも修復できませんでした。

こういう離婚は悲しいですね、誰が悪いわけではないから本当に切ない。

結婚は現実で生活そのもの、特に子供のいる女性にとっては切実ではないでしょうか。
だから日常を邪魔する愛は、女の足かせになってしまう。


某セレブの方が「愛はお金で買える」と発言されて話題になりました。
それは極論なのでしょうけれど、シンディは夫のディーンに狩猟本能に長けた逞しい男性になって欲しかったのかもしれません。

 

また私目線ですが、現在のシンディは大きなダイアモンドのリングをつけていて、それはディーンの頭部が6年のうちに薄くなっているのと同じく時系列を示すアイテムにしか過ぎないのかもしれません。
でもフリーターのディーンが頑張って買ったのだろうなと想像すると一層切なさがこみ上げました。


どうしてシンディ視線で見てしまうかといえば、私が女性だからというより、この話がシンディの目線で描かれているから。


でも本音を言ってしまえば、ディーンも面倒臭い男ですが、シンディも面倒な女性で作為的な部分を持っています。
無意識かもしれませんが、自分が傷つかないように生きるのが上手い、そんな印象を受けました。


ミッシェル・ウイリアムズとライアン・ゴズリングというハリウッドで溜息ものの2人が、美しさと滴るような色気をごく日常的なそれに控えることで、平凡な男女に落とし込んでいるのがさすが役者という感じです。

郊外のショッピングモールあたりを漫ろ歩いている、どこにでもいそうな夫婦に見えてしまうから不思議です。

ラストが美しくて鳥肌ものです。
そこを楽しみにして見てほしいかな。

最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
それではまた。

のじれいか でした。
  


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