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【映画】Julieta ジュリエッタ 【依存と共存の違い、静かに忍び寄る執着の陰】

一人暮らしの55歳のジュリエッタは、娘のアンティアの消息を聞いて激しく動揺する。
その理由は……。

 

 

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スペインの映画ね。ファッションとインテリアがかっこいいわ 

 

 

Julieta

作品情報


公開年度 2016年
上映時間 98分
監督 ペドロ・アルモドバル

キャスト

 エマ・スアレス、アドリーナ・ウガルテ、ダニエル・グラオ

 

 

おもな登場人物

ジュリエッタ/主人公、25年前にマドリードに向かう電車の中で、ショアンと出会う

・ショアン/漁師、ジュリエッタの夫。ジュリエッタと結婚する前に妻がいたが病死している。ショアン自身も漁に出た先で亡くなる。

・アンティア/ジュリエッタの娘

・ロレンソ ジュリエッタの恋人。

・アバ/陶芸家、ジュリエッタと親しい。

・ベア/アンティアの親友

  

あらすじ


マドリードに暮らす50代の女性ジュリエッタは、恋人のロレンソとポルトガルに行くことになり荷物を整理していた。
そんなとき偶然、ジュリエッタの娘アンティアの親友ベアと再開する。

ベアからアンティアと偶然会ったと聞いたジュリエッタは激しく動揺。
ジュリエッタは娘のアンティアと12年も会っておらず、どこに住んでいるのかもわからない音信不通状態だったからだ。

忘れようとしていたアンティアへの想いが蘇ったジュリエッタは、ポルトガル行きを中止してマドリードに残ることに決める。

  

25年前に遡る 

ジュリエッタの記憶は、娘の親友ベアと再会したことで一気に25年前へと遡っていきます。

25年前、夫となるショアンと運命的な出会いをして、二人の間には娘アンティアが生まれます。

その後、非常勤教師だったジュリエッタのキャリア問題、実父が家政婦と関係を持ち病気の実母を蔑ろにしているなど問題はあるものの、ジュリエッタとショアンの関係は上手くいっていました。

しかしショアンと友人アバが以前から関係を持っていたことを知ったジュリエッタはショアンと口論、その後、漁に出たショアンは帰らぬ人となります。

 

ジュリエッタを支えるアンティアだが 


ショアンの突然の事故死で茫然自失になったジュリエッタを、成長したアンティアが支えます。

成長したアンティアのことを頼もしく思い、頼りきるジュリエッタ

けれどアンティアが3か月間の予定で合宿に行ったまま行方不明になります。
実はアンティアはジュリエッタの存在が重くてたまらず、自由を求めて逃げてしまったのでした。

それを知ったジュリエッタは狂ったようにアンティアを探しますが行方はわかりません。誕生日にカードが送られてくるだけの関係に苛立ち、ジュリエッタはアパートを引き払い、他の部屋に引越します。

 

アンティアが去った理由


ジュリエッタはアンティアを愛しながらも憎しみに近い感情を抱くようになり、すべてを忘れるために、一緒に暮らした部屋を引き揚げて転居します。

その後ロレンソと出会い、新しい生活を始めたものの、アンティアへの執着の感情が戻ってしまうジュリエッタ

けれど実はジュリエッタを支えながら、アンティアも苦しんでいました。

アンティアもまた自分を保つために親友ベアに精神的に依存していたのです。
ベアとの関係が壊れ、アンティアは母、ジュリエッタの元を離れる決意をしたことが徐々に明らかになっていきます。

身近な人の気持ちは見えないもの

 

この話の主人公はタイトルどおりジュリエッタです。

ですのでジュリエッタの感情が中心に描かれていくのですが、他の人がどういう気持ちだったのかということが、後々わかってくるところはリアルで面白いと感じました。

実際私たちが生きていくなかで他人の心情を汲み取れないこと多く、後から聞いてわかることも少なくありません。

本当ならば身近な人の気持ちを慮る余裕を持てればよいのでしょうが、ついつい自分本意になってしまったことで、引き起こしてしまう典型的な人間関係の亀裂を描いたお話です。

ジュリエッタは可愛くて優秀な女性ですが、それゆえ自分に対してネガティヴな態度を取る人間に対して非常に敏感でもあります。

ショアンの身の回りを手伝っていた家政婦の女性も、色々と自分にとって都合の悪いことがあるので、解雇してしまい、そのことをアンティアに指摘されても聞き入れようとはしません。

アンティアの立場になれば、母親から離れることで自由になってほしいと思いましたが、アンティアも既に親友との関係も壊れてしまい、ギリギリの状態だったので心の傷は深いと思います。
それに離れた後も色々と大変なことがあり、ジュリエッタというタイトルですが、実は娘のアンティアの方が辛かったのではないかと思えました。

見る立場によって人の気持ちも変わるので、今度は『アンティア』というタイトルでアンティア目線のアナザーストーリーをつくったら面白そうだなと思ったりしました。


感情が交錯する映画ですが、ファッションもかっこいいし、インテリアもお洒落です。

誰も自分を理解してくれないと悲しい気持ちのときや、自分の心が狭くなっていると感じたときに観ると視点が変わる気がする映画かもしれません。
悩んでいる女性におすすめしたい映画ですね。

それではまた。

最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
のじれいか でした。



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