【映画】パティケイク$【ここが面白い!をリストアップ】女のサクセスストーリー
パティケイク$
ラッパーを目指すパティ。
最悪な暮らしから脱出することができるのか?!
とてもよい作品なのですが、日本ではDVD化されていません。
U-NEXTでなら観れます。
- 作品情報・キャスト
- パティケイク$ 一言でいえばこんな話
- あらすじ(ネタバレなし)
- パティケイク$ ここがおすすめその1 リリックの素晴らしさ
- パティケイク$ ここがおすすめその2 仲間との友情
- おすすめその3 ダメ母との関わり
- まとめ(ちょっとネタバレも)
作品情報・キャスト
公開年度 2018年
上映時間 109分
監督 ジェレミー・ジャスパー
キャスト ダニエル・マクドナルド、ブリジット・エバレット、ジッタルタ・ダナンジェイ、ママドゥ・アティエ
2017年、インディペンデント系の映画を対象として開催される、サンダンス映画祭にて買収された映画。
ジェレミー・ジャスパー監督初長編作品。
パティケイク$ 一言でいえばこんな話
ラッパーを夢見る23歳のパティが、アル中の母とアルツハイマーの祖母との暮らしを必死に支えながら、仲間と成功を目指す話。
あらすじ(ネタバレなし)
ラップ界の女王”キラーP”として歌うパティは電話の音で夢から覚めて現実に戻る。
電話は祖母が通う病院からの医療費の催促だった。
パティは、かつては歌手で現在は酒浸りの母、車椅子でアルツハイマーの祖母とニュージャージーで暮らしている。
パティは「私の人生は最高」と歌いながら汚れて散乱した自宅を後にする。
音楽を聞きながら体を浮遊させるパティは車のクラクションで我に還った。
「どけ、ダンボ」
パティは町の連中に、太った容姿からダンボと呼ばれている。
親友で仲間のジェロミオはパティの見方でよき理解者だ。
一緒に歌手デビューするのが夢だが、パティの現実は場末のバーで働き、店で飲んで潰れる母を介抱をする日々を送る。
「ここから出たい、ニューヨークで成功したい」
パティは家の借金返済のためとデモテープを作る費用を捻出するため、アルバイトを増やして奮闘。
そんなときラップのイベントで顔見知りになったボブを誘い、パティ、ジェロミオと3人でラップバンドを組むことになった。
パティケイク$ ここがおすすめ
その1 リリックの素晴らしさ
劇中で頻出するラップが抜群。冒頭からヤラレました。
ニュージャージで惨めな暮らしに耐えながら「ここから出たい」「どうしたら」「芽を出したい」という閉塞感に加えて、ダンボと呼ばれ笑われ馬鹿にされながら懸命に生きるパティの女の子としての怒りと葛藤が歌を通じて痛いほど伝わってきます。
パティケイク$ ここがおすすめ
その2 仲間との友情
誰からも馬鹿にされ揶揄われているパティのラッパーとしての能力を信じ、ときに脆くなる彼女を支えるジェロミオとの友情は仲間の大切さを教えてくれます。
「おまえのリリックは最高だ」
もちろんジェロミオも今の貧しい生活から抜け出したくて夢を追っている。
だからパティの存在はジェロミオにとって命綱なのかもしれない。
でもジェロミオがパティを心から尊敬していたことは疑いようがなく、男女を超えた深い繋がりを感じさせてくれます。
また途中からバンドに参加するボブも、パティと関わるうちパティによって救われていく心情が描かれています。
パティケイク$ ここがおすすめ
おすすめその3 ダメ母との関わり
母親はロクに働かず、酒浸りで金銭的なことも娘に頼りきり。
そのうえ娘の職場で酩酊して倒れることもしょっちゅう。それでもパティが母を見限らないのは、ラッパーを目指すパティにとってプロの歌手だった母を尊敬しているし誇りに感じてもいるから。
母がカラオケを歌うとき、そっとヴォリュームを上げるやさしさなど、パティの優しさが感じられます。
同じようにバンドの歌に祖母をラップで参加させるなど、パティの家族を愛する気持ちが伝わります。
端から見れば毒親のようでも、ちゃんと繋がっているんだとわかるところがいい!
まとめと感想
私がまず一番ジンときたのは、パティとジェロミオの友情でした。
けれどジェロミオは無償の愛をパティに与えたのではなく、パティの能力や努力を知っているからこそ、他人からどれだけ酷いことを言われても、パティに寄り添い続けます。
それは美しい友情のように見えて、実は友情は尊敬の上でしか成り立たず、自分を極めることができる人間こそが他人からも尊敬されるという厳しさが伝わってきました。
またパティが憧れのラッパーO-Zに出会うシーンも印象的でした。
パティは喜びと高揚でラップを披露しますが、O-Zはパティに自宅に飾った240万ドルするという抽象画の価値を訪ねます。
「人の怒りを完璧に抽出しているからだ。痛みや感情も、筆遣いに作者の錯乱ぶりと夢が見て取れる、だから価値がある」言ってパティに、だけど「おまえは偽善だ」と続けます。
表現者として評価される人生は、過酷に生きるパティの立場からしても更に過酷で、ときに正気を失うほどの苦悩の果てにしか得られないのかもしれない。
O-Zの言葉は厳しいようで実は真実だった。
O-Z自身も凄まじい努力の果てに成功があった。
単に感情を害したかのように見えるシーンですが、表現者の厳しさをパティに知らしめようとしたと私は解釈しました。
一度は絶望するパティでしたが再び立ち上がることができたからこそ、あのエンディングを迎えることができたと私には思えるのです。
それではまた。
のじれいか でした。