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映画の感想を書いています。絶望と不条理を映画に求めてしまいがち。ときにネタバレ。

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【映画】フットルース ケヴィンベーコンのステップはイカしてるが、鉄棒はスタントなのね

 

フットルース

音楽とダンスを禁止しているアメリカの超保守的な街を舞台に、
転校生の男と仲間たちが自由のために右往左往する話。

 

最初なぜ踊るのかわからなかったが、鉄棒で大車輪をはじめて不思議と納得

踊って発散ね、青春だわー
星★★★★ 4 

 

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作品情報 

公開年度 1984
上映時間 107分
監督 ハーバート・ロス

 

キャスト

レン・マコーマック(転校してきた高校生)ケヴィン・ベーコン 

エリエル・ムーア(牧師の娘)ロリ・シンガー

ショー・ムーア(牧師)ジョン・リスゴー

バイ・ムーア(エリエルの母)ダイアン・ウィースト

エセル・マコーマック(レンの母)フランシス・リー・マッケイン

ラスティサラ・ジェシカ・パーカー)エリエルの友人

ウィラード・ヒューイットクリス・ペン)レンの友人

チャック・クランストン(ジム・ヤングス)不良グループのリーダー格

さらっとあらすじ 

アメリカ中西部のボーモントという田舎町に母と2人で越してきた高校生のレン。
街中でロックとダンスを禁止されていることに驚くが、同級生エリエルの父親の牧師が、自分の息子の事故死をきっかけに禁止を呼びかけたことがわかる。

ウィラードをはじめ友人との交流は深まるが、チャックら不良連中はしつこく、一部の大人はレンに冷たい。レンは閉塞感から脱出するためにダンスができるように働きかける。牧師や周囲の大人たちもレンの姿に心を動かされていくのだが……。
 

何を感じたかと言えば

最初「音楽とダンスを禁止している街」というのがよくわかりませんでした。
意味不明です。
ですがストーリーが進むうちにそうなるに至った理由がわかってきます。


田舎町で封建的な考えが横行していて、ダンスとロックは快楽だから悪い因子を呼び込みやすい的な、とても古い考えを信じられているわけです。

そんな大人たちを説得するのがレンなのですが、何やらとても大変そうで、気の毒に思えてしまいます。

閉塞感に苦しみ悩んでいるはずの若者たちなのですが、陰では普通に、というか結構派手に踊っていて、音楽もバンバンにかけていて、それほど苦しんでいる様子ではないのが不思議でした。

建前的にアウトだけれどこっそり楽しむことが可能なら、街にいるうちは適当に遣り過しておけばいいんじゃないと思えるのですが、自分の気持ちに正直なレンはそんな適当な生き方は選ばず、堂々と大人たちに立ち向かっていきます。

レンは直球すぎて損をしてしまう性格なのかもしれませんが、その素直さに人々は徐々に心を動かされるようになっていくのです。

 

楽しく観たい「青春映画」

重い青春映画もありますが、本作品は色々問題提起はあるものの、そこまで深刻にならずに楽しめます。

青春映画といえば、古い作品だと ジョン・トラボルタとオリビアニュートンジョンのグリースがあります。
グリースは恋がメインの青春映画で
、不良と優等生という縛りを乗り越えてゆくミュージカルでした。

フットルースにもレンと牧神娘エリエルとの恋の要素があるし、グリースと似たところがあるかもと一瞬思いはしたものの、ダンスシーンのみで歌わない、つまりミュージカルではないところが圧倒的に違いました。

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当時大流行した曲(映画の影響で流行ったのかも)が要所要所で流れ、それに合わせてレンと仲間たちは、時に喜び、時に怒りを踊りで表現するのですが、1曲も歌いません。

 

主題歌『 Footloose』(ケニー・ロギンス)『Holding out for Hero』(ボニー・タイラー)など一度は聴いたことがある曲ばかり。

特に『ヒーロー』は大映ドラマで使われていたので馴染みが深いですよね。


不当な扱いに怒りを覚えたレンは踊ることで感情をコントロールします。
大人からの牽制、不良とも諍い、家での問題と、色々と大変なので踊らないとやってられない感じなのでしょうね。

レンが倉庫のような場所で一人踊る場面は、ミュージックビデオに出てくる有名なシーンですから、映画の本編を観ていなくてもどこかで目にしたことがある方は多いと思います。

ケヴィン・ベーコンのダンスはなかなか凄いのですが、体操選手のように鉄棒で大車輪をするシーンは流石にスタントなのだそう。

 

そりゃ〜、そうよね。 

 

しかもいつの間にか両手は滑り止めの粉で白くなっていたりと、大真面目なシーンなのに少し笑えます。

いい奴なのに都会から来た転校生で目立っていると理由でレンは何かと悪者扱いされてしまい気の毒ですが、こういうことはアメリカでも普通にあるんだなと共感させらもします。

戦っているのは個人じゃない


興味深く感じたのは、普通この手の流れのストーリーは、若い人の抑圧は大人に対する反抗や怒りへと向かいがちではないかと思いますが、(事実ヒロインのエリエルは父親と対立)レンの行動は冷静で極めて大人です。

またこの街で暮らす大人たちは尊敬する牧師の影響を受けてはいるけれど、それほど頭の硬い性悪な人たちだけでもなく、アリエルの母(ダイアン・ウィースト)などは娘のよき理解者で、迷える夫にさりげなく光を当てる言葉を告げたりもします。

 

エリエルから父の悪口を聞かされたレンは、親子喧嘩に巻き込まれそうになりながら「俺が戦っているのは個人じゃない」とさりげなく予防線を貼る大人っぷりを発揮。
また自分のために家族が不当な目に遭ったことを知らされたときの反応も大変素直でスマートでした。

とってもいいコ(good boy)なのです。

 
そして大人を交えた会議で「
ダンスは法律で禁止されていない」と誰が聞いても頷いてしまう、酷くもっともな訴えを皮切りに「ダンスはかつて豊作や健康のためにあったもので、聖書にも載っている」と抗議するレンの冷静な姿勢には心惹かれました。

 

素朴な田舎町を舞台にした、ささやかな暮らしの一場面を音楽と共に垣間見れる映画といったところでしょうか。

あとヒロインの友達役にサラ・ジェシカパーカーが出演しています。この作品がデビュー作なのですね。

またレンの友人役で出演しているクリス・ペンショーン・ペンの弟で多くの作品に出演していましたが、2006年に急逝されています。

 

のじれいか でした。


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