のじシネマ

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【映画】地球の静止する日【あらすじ、感想など】過剰な警戒と嫉妬は不利益に「クラトゥ・バラダ・ニクトー」

のじれいかです。
今回はSF映画の名作『地球の静止する日』をご紹介します。

『地球静止する日』=本作
『地球静止する日』=キアヌリーブス主演 2008年

キアヌリーブス主演作品は本作のリメイク版。
タイトル『の』か『が』の違いがあります。 

英題はどちらも『THE DAY THE EARTH STOOD STEEL』。

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地球の静止する日』★★★★ 細やかな脚本に拍手!

 

 一言でいえばこんな話

地球人より知的で優秀な宇宙人が、地球で核兵器を使われると他の星が影響を受けて迷惑を被ることを忠告するため地球を訪れる。
だが、人間たちは未知なる存在への嫉妬と不安で友好的に振る舞えず、
宇宙人に辛くあたることで現実逃避、自分たちに迫る危機について理解しない話。

 

テーマ 「他人の話はとりあえず聞いた方がいい」
ログライン「自分たちより知的な宇宙人の存在への不安と嫉妬から、自分たちが暮らす地球への忠告を無視する愚かな人間たち」

地球の静止する日 作品情報  

公開年度 1951
上映時間 92
監督 ロバート・ワイズ
キャスト マイケル・レニー、パトリシア・ニール、サム・ジャッフェ、ロック・マーティン、フランシス・ベイヴィア

 

あらすじ

アメリカ、ワシントンD.C.に突如、宇宙船が着陸する。乗っていたのは見た目は人間の宇宙人クラトゥ(マイケル・レニー)とロボットのゴート(ロック・マーティン)だ。
周辺住民はお騒ぎ、多くの人が不安と恐怖の眼差しを向ける。
クラトゥは危害を加えないと説明するも警察は恐怖で発砲、クラトゥは病院に収容される。大統領補佐にクラトゥは一国の首相を一堂に会して話をしたいと言うが、時は冷戦時代、アメリカに集合するのは無理だと返事が来て……。 

評価、レビュー

最初、『地球の静止する日』とタイトルを聞いてしまうと、『アルマゲドン』的な逃げて戦って絶望して涙して、とっいたテンションMAXなSF映画を想像しがちですが、この映画は、ロボット&宇宙船、軍隊にジープなどは出てきますが、闘うシーンはほとんどありません。(若干ありますが、想像したものとはまるで違います)


宇宙船がワシントンの上空を飛んだり、ロボットのゴート(ツルツルの着ぐるみを着たでかい人)が登場するシーンを再現するのは当時(昭和26年!)としては特撮を駆使した画期的映画だったと思われます。


事実、このゴートはその後暫くSFの定番キャラ的存在として、ボディガードロボットといえばゴートと言われる時代もあったそうです。

全編モノクロ映像で、深夜テレビで放送されていそうな『トワイライトゾーン』的な怪しい雰囲気も醸し出しています。
音楽も怪しく「ターラ〜♪」「ターラ〜♪」のリフレインでおどろおどろしく恐怖を煽るところも、懐かしくも味わい深い印象。

 

宇宙人のクラトゥは、地球人がやたらと核実験をしたり環境を破壊したりすることで近隣の宇宙人たちは甚だ迷惑を被っていること、クラトゥたち宇宙人は高等な生き物で攻撃や暴力は振るわないが、自衛の力が地球を攻撃する可能性があることなどを伝えにやってきました。ですが地球人はクラトゥが宇宙船に乗ってきたことから、疑いと恐怖の視線をクラトゥに送り続け、まともに話を聞こうとしません。

仕方なくクラトゥは政府の監視から逃れて一般の宿に身を寄せつつ、著名な学者バーンハート博士に助けを求めます。
博士はクラトゥのただならない能力に納得して、協力を約束。
一時的に地球の電力を停止させることでことの重要性を知ってもらって、話を聞かせてようという算段に出るのです。

電力を止めてしまうところでは、人に被害が出ないようにと博士とクラトゥは話し、「 病院や飛行機は問題ない」フォロー体勢で怠らないところなど細やかな設定で関心します。


ストーリーは単純ですが無駄なくまとまっているので、頑張らなくても観れます。
飲みながら笑って観てもいいかもしれない。
でもしっかり観ようとしたらかなりしっかりと観れるのがSF映画の魅力です。

本作は人類の「冷戦」と「原子力」に対する警告を軸足に置きつつ、人類の猜疑心と嫉妬について哲学から宗教観まで含みつつ描かれています。

 

アメリカの哲学者エマーソン博士の「恐怖は常に無知から生まれる」言葉のように、知らないこと、経験していないことが突然怒ることで人は大きなストレスを感じるもの。


絶えず人間は生きる上で選択を迫られます。
必要なものを受け入れ、それ以外のものを手放すのを繰り返すのが人生。

クラトゥの台詞のなかに「人の恐怖が理性に勝るのを恐れている」という言葉がありましたが

「賢い者は、正しい好奇心と、他者の言葉に耳を傾ける余裕を持つ」(のじれいか)

にて今回は〆させていたただきます。

それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
のじれいか、でした。

 

追記
クラトゥの暗号「クラトゥ・バラダ・ニクトー」の意味はなんだったのでしょうか。
「クラヴィスはヤバイ、バラして復元しろ、憎んでもまだ手を出すな」だったり。
 

 


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