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【映画】汚れた英雄【あらすじ、感想など】むしろ究極の草食系男子じゃ?

のじれいか です。
今回ご紹介するのは『汚れた英雄』です。

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汚れた英雄』★★★ 案外隠れた名作か? 

 

 

汚れた英雄・一言で言えばこんな話

オートバイヲタの孤独なイケメンが、いろいろ地獄を見たりして瀕死の事故に遭っても蘇り、金持ち女たちをスポンサーにしながら、ただレースに出場し続ける話。

 

テーマ「目標のためだけに生きる」
ログライン「オートバイ命で孤独を愛した、愛され男子の話」

汚れた英雄・作品情報(キャストなど)

公開年度 1982年
上映時間 112分

監督 角川春樹

おもなキャスト

北野晶夫◆孤児のオートバイレーサー草刈正雄
クリスティン・アダムス◆石油王の娘。晶夫に惹かれてスポンサーになる(レベッカ ・ホールデン
斎藤京子◆世界的なファッションデザイナー。晶夫のスポンサー(木の実ナナ
御木本菜穂子◆財閥令嬢、晶夫のスポンサー(朝加まゆみ)

緒方宗行◆晶夫のマシーンのメカニックを担当する元ライダー(奥田瑛二
緒方あずさ◆宗行の妻(浅野温子
緒方和巳◆宗行とあずさの息子。晶夫に懐いている(磯崎洋介)
雨宮貴司◆晶夫のマシーンのメカニック担当。メンタルが弱く女に惚れっぽい(林ゆたか) 

大木圭史◆オートバイライダー、ヤマハと契約している(勝野洋
鹿島健◆オートバイライダー、晶夫に憧れてこの世界に入る、晶夫たちからは「ジュニア」と呼ばれている。実家が裕福なおぼっちゃま(貞永敏

 テディ片岡◆レースの実況アナウンス を担当 (伊武雅刀

 

角川映画(現在のKADOKAWA)1976年から1993年まで製作されていた邦画の映画会社によって製作された映画です。

監督は角川春樹。脚本は丸山昇一、80年代から90年代に活躍され、『いつかギラギラする日』脚本も担当されました。

原作は大藪春彦。ハードボイルド作品を多く輩出した小説家です。

nojirika.hateblo.jp

あらすじ

国際A級、500ccレースの決勝。レーサーの北野晶夫(草刈正雄)はレーシングチームに所属せずプライベートで参加、現在ポイント1位につけている。
晶夫は事故のため2年間のブランクを経ていて、期間限定でチューンナップを緒方(奥田英二)に依頼し、妻あずさ(浅野温子)息子の和巳(磯崎洋介)と親しく関わる。
その一方晶夫は美しい容姿を利用してスポンサー探しにも余念がない。

オートバイ好きか絶頂期の草刈正雄を愛でられる

オートバイ好きな人なら文句なしに楽しめる映画だと思います。
草刈正雄を堪能したい人にもおすすめです。

昔の映画なのでCGがなかったり、色々しょぼいところはしょうがないと思います。
なので見るべきポイントは4つ。

  1. 北野晶夫を演じている若き日の草刈正雄を堪能する。
    草刈正雄の若いときは彫刻のような美しさです。
    草刈正雄さんといえば、現在では三枚目の役柄もこなす役者ですが、この役をさらっと演じられる役者は、現在の日本の俳優を見てもそうはいないと思います。

  2. インテリアとファッションにお金がかかっていて凄い。
    バブル時代に全世界で大流行したインテリア、打放しコンクリートが晶夫の住まい。しかも自宅にプール付きです。閉鎖的な晶夫のイメージに合わせているのか室内(地下)プールです。結露が大変そうですが。

    晶夫に資金援助をしている女たちも、シックでいいお洋服を着ています。
    それにジュエリーも素晴らしく本物っぽいのがいい。

    パーティーのシーンで、レベッカホールデンが凄いダイヤのネックレスをつけているのですが、エンドロールをチェックしたらジュエリーアドバイザーがついていることが判明。

    芝翫香の坂元紀伃子さんという方でしたが、ネットで調べても詳細はわかりませんでした。芝翫香は大阪の老舗宝飾店で東京にも出店しています。

    衣装についてのセンスの良し悪しはトレンドありきなのでヴィンテージ感は漂いますが、いわゆるバブルの肩パッド系お洋服は出てきません。
    そして、もの凄くいいものを着ているのは一目瞭然です。
    四方義朗がファッションアドバイザーをしており、イヴ・サンローランオートクチュールや、幻の西武PISAが衣装協力しています。 
    昔、高級な婦人雑誌をめくると、衣装協力に必ずといっていいほど名を連ねていた西武ピサ。もうないのかと思っていたらまだあるみたいです。
    バーニーズニューヨークも本店が閉店してしまい(本店と日本は経営が完全に別だそうですが)世界的にアパレル業界の不振が続くなか、検討しているといえるのでしょうか。


  3. 天涯孤独に育った人間のことを本気で考えつつ、どんなに人に囲まれていても人間は同じく一人なことを考えてみる。

    昔、原作を読みました。
    父親のいないハーフに生まれた戦争孤児の北野晶夫は、何も持っていなかったが、優れたライビングテクニックと完璧な容姿を持っていた。

    もし自分にその力があったなら、孤独を恐れないかもしれない。
    人を愛しながら孤独を楽しむ余裕を持つことができると思います。

    愛と依存。
    人に依存するということは自分の力だけでは生きられない自身のなさがあるからで、多くの人は努力で手に入れるものを生まれながら持っていたとしたら、人を愛することはしても人を依存することはしない人生を送れそうです。
    そうなればみんなが幸せになれるのかもしれません。

    自分の持っている力だけで人生を生き抜こうとする男(それができる男)、北野晶夫という男は肉食ではなく、一周回ってむしろ究極の草食系男子じゃないかなと思いました。

  4. キャストのその後を調べてみる。
    3人の行方を追いましたが、行方不明でした。

    ・クリスティーン役=レベッカホールデン 
    ナイトライダーに出演していたみたいですが、現在どこでどうしているのかは不明。

    ・ジュニア役(鹿島)=貞永敏 おそらく現在は役者を引退していると思われます。

 

www.excite.co.jp

  ・和巳(磯崎洋介)子役=磯崎洋介 劇団ひまわりに所属していたそうです。
   1991年の映画に出演さあれたあとのデータがないので、現在は引退してい
   ると思われます。

役者はオファーがないと成立しない仕事です。自分でいくら頑張っても、限界がある仕事なのだと思います。
役者を目指して幸運にも映画に出演できても、その先へと続かない場合もある。
自らキャリアチェンジをする人もいるのでしょうが、仕方なく引退する人がやはり多いのが現実なのでしょう。

ある時代、一瞬に散った花と思えば切ないけれど、映画という永遠の輝きの中に生きている。そう考えれば、映画には物語とはまた別の価値が生まれるのかもしれません。


では、また。
のじ。れいかでした。

 


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