【映画】ボーイズ・ライフ ネタバレあり【あらすじ、感想など】ディカプリオ VS デニーロ
今回は、家族崩壊映画シリーズ
『ボーイズ・ライフ』をご紹介します。
『ボーイズ・ライフ』★★★★ 作家の自伝で納得(★3.5)
ボーイズ・ライフ・一言でいえばこんな話
愛情はあるけど生活力のない母親が、愛されてもいない男と結婚して、継父から虐められながらも息子として家族ごっこをする話。
テーマ「エセ親との確執」
ログライン「継父に虐められながら、いつか家を出たいとそのことだけを考えて生活していた少年の青春と葛藤」
ボーイズ・ライフ・作品情報
公開年度 1993年
上映時間 92分
監督 マイケル・ケイトン=ジョーンズ
キャスト ローバート・デ・ニーロ、エレン・バーキン、レオナルド・ディカプリオ、ジョナ・ブレッチマン
あらすじ
1957年、フロリダからユタへ向かう道。両親が離婚した少年のトバイアス・“トビー”・ウルフ(レオナルド・ディカプリオ)は、母キャロラインと旅をしながらソルトレークシティにたどり着く。そしてキャロラインは年の離れたドワイト(ロバート・デ・ニーロ)と出会い、結婚が決まるが、トビーを気に入らないドワイドはそれから何年もにわたりじわじわとトビーにダメージを与えていく。
義理の関係の難しさというより、トワイドの人間性の問題
ドワイドはキャロラインと結婚してからは、妻を所有物のように扱い、トビーに対してはさりげなく残酷に仕打ちをしていきます。
工場勤務のブルーカラーで裕福ではないにしろ、金銭的に困窮してはいないのに、義理の息子に靴も買い与えず、新聞配達のバイトをさせ、給料をとり上げるなど陰湿な虐めのような仕打ちをし続けます。
そしてトビーが大切にしていたライフル銃を勝手に犬と交換してしまったりと、トビーの大切にしているものを奪っていきます。
しかも再婚した妻のキャロラインのことも実は愛しているわけではなく、妻が必要だから家に置いているだけのような関係です。
それほどトビーが嫌いならば遠くに追いやってしまえばいいのに、トビーが静かに進めていた遠方への学校の入学願書を見つけたトワイドは、願書を捨てトビーの自由を奪おうとするのです。
嫌いだけど手放すのは嫌。
気に入らない相手を自分の好みに矯正させて、それでもまだ気に入らないと文句を言いながら相手を追い詰めたい。
単なる虐待とはまた少し違う、トワイドの執着が感じられる行動です。
ドワイトのような性格の人は、愛よりも嫌悪の感情の方が強くて深い人なのでしょう。
見ていると不愉快で嫌悪感を抱くものの、ドワイドみたいな少なくない、いや、結構多いのかもしれません。
もしかしたら誰の心のなかにもドワイドは棲んでいるのかもしれない。
嫌いなはずなのに気になってしまうこと。
思い当たることがありそうです。
家族は積み重ねでできています。
夫婦などはすぐに家族になれるわけではく、段々と家族になっていくものですが、ドワイトはたぶん、自分の周りに座って生活を面倒を見ることで家族になれると疑いなく信じていた。
けれども、実はドワイド自身がそういう自分に内心憤っていたのかもしれません。
だからこそ自分に対して心を許さないトビーも、キャロラインも愛せなかった。
それはそれで結構苦しかったのかもしれないと思いました。
ドワイトは自分の知識のなさや能力が劣っていることを認めることが嫌で、自分にないものを持つ相手に怒りをぶつける、無知で視野の狭い男です。
父親としても問題の多い人なのですが、本編を通した感想としては、想像よりはまともという印象でした。
それだけ現代の家庭内DVの事件は、凄惨で闇が深いのでしょう。
当時はまだ女性が働く場所が限定されていたこともあったのでしょうが、こういう話を観てしまうと、やはり女性は結婚を逃げ道にせず、一生ものの仕事を手に入れておいた方が、結局は自分のためだとも感じました。
キャロラインが教師や看護師などのような資格、もしくは打ち込む仕事を持っていたなら、ドライトとは結婚しなかったはずだからです。
なぜならキャロラインはトビーのことを心から愛していた。
愛していたけれど生きるためには仕方なかった、というところが遣るせない。
格言「女性は結婚と仕事を切り離して考えた方が、結局は自分のためになる」
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劇中、自宅でテレビを見ているシーンが何度も出てきて時代背景を伝えています。
ニュース番組で、女優ラナ・ターナーの娘、シェリル・クレインが、母親の愛人を殺害したというニュースが映ります。
(名前が違うのでややこしいですが、女優の愛人を女優の娘が殺害したということです)
これは実在するセクシー女優 ラナ・ターナーの長女、シェリル・クレイが、自宅で暴れる母の愛人に斬りかかり殺害したという実際の事件です。
当時ハリウッドを震撼させた事件でしたが、ラナ・ターナーは人生で7回、しかも短期間の交際で衝動的に結婚していました。
シェリル・クレイも不良娘という評判でしたが、母親のパートーナーの犠牲になったという意味では作品と重なる部分があります。
ニュースが流れる傍で、トビーがドワイトに殺意を覚えるシーンで使用されており、象徴的意味合いも含まれていると思いました。
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本作は作家トバイアス・ウルフの自伝小説の映画化です。
原作が実話なだけに派手さはないけれど、身につまされるというか、リアリティのある話でした。
自伝なので淡々と過ぎる日常が描かれていいます。
それゆえロバート・デニーロ演じるドワイトが、ディカプリオ演じるトビーにする仕打ちが大袈裟過ぎず、だからこその生っぽさがありました。
ロバート・デニーロも嫌な継父を熱演していますが、本作の主人公は、ディカプリオかデニーロかといえば、やはりディカプリオなのだと思います。(タイトルどおりですね)
葛藤プリンスのレオナルド・ディカプリオは、とにかくどの作品でも苦しんでいるのですが、本作品でも明るく振る舞いつつも人知れず苦しみます。
撮影当時、ディカプリオは19歳のはずですが、もっと幼く見えます。
同じ年に公開されている『ギルバート・グレイプ』でもピカピカの少年でした。
タイタニックが1997年の作品ですから、この4年後。
役者としての成長と、幅広く演じることのできる才能に脱帽です。
それではまた。
のじれいか、でした。