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【映画】私がクマにキレた理由(わけ)ここが面白い!をリストアップ(ネタバレあり)

私がクマにキレた理由(わけ)・一言でいえばこんな話

大学を卒業した女(アニー)は、大学院で人類学を学びたいのに、女手一つでアニーを育てた看護師の母親から大手金融企業に就職することを期待される。

だが企業面接で「あなたはどういう人?」と質問されてアニーは言葉に詰まる。
自分のアイデンティティーのなさと目標のなさに気づき、行く宛てもなく佇んでいたところをスカウトされてナニー(乳母)になるが……。

そんなアニーのひと夏の奮闘を描いたコメディーです。 

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自分は何者か考える旅 ★★★★ 

1 作品情報・キャスト

公開年度 2007年

上映時間 106分

監督 シャリ・スプリンガー・バーマン・ロバート・プルチーニ

原作 エマ・マクローリン、ニコラ・クラウス

キャスト スカーレット・ヨハンソンローラ・リニーアリシア・キーズ、ニコラス・リース・アート、ドナ・マーフィー


*小説『ティファニーで子育てを』の映画化。  

2 面白かったところはここだ!(完全独断で一部ネタバレあり)

  • 1あり。
  • マンハッタン在住のセレブ家庭の暮らしぶりが馬鹿馬鹿しくていい。
  • ノロラニクやカルティエなどブランドが出てくるシーンや、マンションのインテリアもゴージャス。
  • 女性の生き方を軽いタッチで描いているので、共感しながらも重くならずに見れる。
  • 職業差別意識が強く、悪いことは弱者のアニーのせいにされそうになるなど、色々と身につまされる

好きなシーンはここ

・ 企業の面接官がアリーへ「あなたはどういう人?」と質問するところ、アリーは答えることができず沈黙してしまうところ。

・友人のリネットは、アリーが安易に乳母の仕事を引き受けたこと知り、楽に見える道ほど地雷だらけよ、と答えるのですが、それがその後の展開を予想させることに。

・育ちのよいハーバードと出会ったアニーだが所詮自分とは見合わない相手だと引き気味。上流男が庶民の女と付き合うのは大学時代だけだとふと呟いてしまう。

日本にもこういうことあはあると思います。
育ちばかりは努力で手に入れられないし、どうしようもないのですが。

3 疑問に感じたところはここだ!(完全独断)

  • 雇い主のミセスXは、夫と喧嘩したら消えてしまうし、子供が志望校に落ちたことをアニーのせいにするなど、いくら何でも身勝手すぎ。 
  • 雇い主とはいえミセスXは、アニーの母親に挨拶一つしないところが無礼すぎ。お金持ちの人ほど他人との接し方には気を配ると思う。
  • アニーが子守を始める時点で辞めることを宣言しているところ。期間限定を明かしているが、それ必要かなと思った。
  • タイトルのセンスがなさ過ぎ!面白いのにタイトルがイマイチ過ぎて残念。絶対タイトルで損をしていると思う。
  • いきなりクマが出てくる(そこでタイトルの意味がわかる)のだが、少し伏線があってもよかった気がする。(つまりタイトルがおかしい!)
  • あれだけ嫌な女のミセスXなのに、急に反省するのがありがち。

あらすじ

大学を卒業したアニー(スカーレット・ヨハンソン)は、シングルマザーの母(ドナ・マーフィー)から金融企業で働き高額の収入を得て欲しいと言われている。本当は人類学の大学院に進学したいアニーだが仕方なくマンハッタンの大手金融に面接に出向くと面接官から「あなたはどういう人?」と聞かれアニーは返事に窮する。
面接を離脱してセントラルパークで呆然としていたアニーは、子守をクビにしたばかりのセレブ主婦、ミセスX(ローラ・リニー)から子守役にスカウトされて……。

アニーの誤算

アニーは頭はいいけれど安易なところがある女子。
就職戦線を離脱した途端にミセスXからスカウトされて、行く場がないので場つなぎ的な軽い気持ちでつもりで乳母の仕事を引き受けます。

そして母には就職したと嘘を吐くのですが、全てを知っている友人のリネット(アリシア・キース)から「楽に見える道ほど地雷だらけよ」と釘を刺され、そのアドバイスは見事に的中します。
 

マンハッタンの高級マンションに住み込みで働くことになったアニーですが、名前で呼ばれず、一方的に決まりを押し付けられ過酷な日々を過ごすことになります。
しかも肝心の息子は聞き分けがなく、アニーは常に引っ張り回されっぱなし。

ミセスXは子供に無関心で、息子をアニーに押し付けて自分は外出三昧。
夫のミスターXも子供に関心を持たず、アニーのことは人とも思っていないような態度です。

救いなのはアリーは同じマンションの住人ハーバード(クリス・エヴァンス)と出会い。それもミセスXから男性との交際を禁止されていたことが理由で阻止されてしまいます。

けれども実際に接してみるとハーバードは、ミセスX家の人たちのように嫌なやつではなく案外いい人で、アニーは徐々にハーバードと親しなっていきます。
また息子のグレイヤーも次第にアニーに対して心を開くようになりますが、ハーバードはアニーに仕事を辞めることを勧めます。

アニーも頭では仕事を辞めた方がいいことはわかっているのですが、グレイヤーのことが心配で決心できずにいます。
それにアニーは腰が重く、一度落ち着いた環境から離れるのが得意ではない。
だから気持ちとは裏腹にだらだらと時間が過ぎていってしまうのです。

ステレオタイプの嫌な女 ミセスX

グレイヤーがあるとき高熱を出してアニーは一人うろたえます。
仕方なくアニーは看護師の母に助けを求め、応急処置をしてもらい、そのことで母に子守をしていることがバレてしまいます。

帰宅したミセスXは、息子が熱を出してアニーの母がいるのに怪訝な表情を浮かべるだけ。
自分の子供が病気になって他人が右往左往しているのに、信じられない無責任に呆気にとられてしまいました。

しかもそこまでこき使われたにもかかわらず、アニーは感謝されるどころか、勝手に言い寄ってきただけのミセスXの夫との仲を疑われて一方的に仕事を解雇してしまうのですから最低過ぎて怒りを通り越して呆れる存在です。
こんな人、絶対に実在してほしくないですね。

クマにキレるってこういうことなのね

ミセスXは雇っている乳母の部屋にある「クマのぬいぐるみ」に内蔵カメラを仕掛けて乳母たちを監視していました。
アニーはミセスXが友人とそのことを話しているのを聞き、カメラの存在に気づきます。

 さいごに

期待以上の映画でした。
『メアリー・ポピンズ』を意識した描写があったり、人類学に基づいた台詞、女性の職業に対する考えなど、興味深いシーンもたくさん出てきます。
上映時間も2時間弱と短く、登場人物もシンプルなので、軽い気持ちで誰とでも楽しめる映画ではないでしょうか。
特に女性には、立場や年齢を問わず共感できる部分があると思います。

 

ラクな仕事はないものよね! ★★★★

テーマ「自分とは何者か」

 

それでは、また。
のじれいか 
 

 


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