俳優 大杉蓮の遺作として話題になった映画。
教誨師と死刑囚6人とが対話をする話。
作品情報
公開年度 2018年
上映時間 114分
監督 左向大
キャストと役柄
佐伯保(大杉蓮)
引用先『教誨師』公式サイトより
まだ牧師になって日の浅い教誨師。子供の頃、自分のせいで兄が殺人者になってしまい、その兄が出所間近で自殺したことがその後の人生に大きく影響する。
高宮真司(玉置玲央)
引用先『教誨師』公式サイトより
世の中が変わると信じて計画を決行し、17人の人間を殺害した死刑囚。原爆を落としたのは金儲けのためで、世界中で同じようなことをやっているとか、日本社会や人を批判して自分を正当化する。
鈴木貴裕(古舘寛治)
引用先『教誨師』公式サイトより
意中の女性とその家族を殺害したストーカー。彼女は自分に詫びて待っていると言ってくれた、あちらの世界に行ったらやり直したいと反省はまるでしていない。
進藤正一(五頭岳夫)
引用先『教誨師』公式サイトより
文盲なことで借金の保証人にされてしまったホームレス。運送の仕事についたが子供を撥ねてしまい服役したことから人生が流転して死刑囚に。少女にお詫びの手紙を書けなかったのが文盲なことを唯一悔やんだことだと語る。 佐伯にすすめられて字の勉強を始める。
小川一(小川登)
引用先『教誨師』公式サイトより
経営する店が経営に行き詰まり生活が苦しかった。子供の野球チームの父兄家族から貧しいことを馬鹿にされ、その子供からの一言で頭が真っ白になり家族を殺害してしまい死刑囚になる。殺人は遺伝するのか?と悩んでいる。殺害動機については計画性はないのだが、裁判ではそのことを言わずにいた。
吉田睦夫(光石研)
引用先『教誨師』公式サイトより
やくざの死刑囚。饒舌で調子がいいが、別の殺人事件に絡んでいることを佐伯の前で告白して裁判に持ち込んで執行を先延ばしにしようと画策している。
烏丸せつこ(野口今日子)
引用先『教誨師』公式サイトより
大阪の饒舌なおばさん。人の話を聞かず自分の話だけ捲し立てる。嘘を平気で吐く。
すごく簡単なあらすじ
佐伯保は半年前から教誨師を務めるプロテスタントの牧師で、月に2回、死刑囚6人との面談をすることになった。彼ら6人は年齢や環境もまったく違うが、佐伯は相手を知ろうと面談に望む。退屈している彼らにとって佐伯はいい時間潰しではあるが、佐伯が説く「悔い改める」気持ちになる死刑囚は多くはない。国や政治が悪い、死刑制度は廃止すべきと主張したり、殺された側が悪いと言い出したり、ここを出すように頼んでくれないかと言い出したりと佐伯は聖書の言葉を伝えようとするのだが。
感想
死刑制度について、私は主張を持って語れる立場も意見も持ちません。
ただそれでも死刑制度反対を強く訴えることができる人は、殺人は絶対悪だと断言できる人のみに許されることだと考えています。
主観と客観があまりに違う人が、自分の立場によって掌を返すかのようにどちらかに寄って主張をするのはどうなのだろうか、この作品を観ながらそのことをずっと考えていました。
本編では6人の死刑囚の全員が犯した犯罪について詳細が出てくるわけではないのですが、彼らは死刑を否定し、自分を罰することは誰にもできないと心から思っています。
犯罪を犯して(人を殺めていながら)国やほかの力によって自分を殺めることは許せない。そう死刑囚から自分を正当化したことを言われてしまうと正直許しがたいというか、なんて都合のいい連中なのだろうと気分が悪くなりました。
けれども少し冷静になってみると、死刑囚の6人は教誨師の佐伯の前では普通の一人の人間であって、そのことは揺るぎないとは思います。
ただ自分の罪を見つめようとはしない人には聖書の言葉も教誨師の言葉もいつまで経っても届かないのではないでしょうか。
この作品は大杉蓮の遺作です。
まだ2年しか経っていないという気持ちと、もう2年も経ってしまったという複雑な気持ちで観ました。しかも教誨師という役柄なので余計です。
話のほとんどが刑務所の中なので、ヴィジュアル的にも舞台向きな作品かもしれません。
ほかのキャストもみんな上手でした。
玉置玲央と烏丸せつこがよかった。
玉置玲央は最近とみに活躍が目立っている俳優。NHKのラジオドラマ FMシアターも心に残りました。
烏丸せつこさんはスカーレットでも好演してますよね。
不思議な存在感を持つ役者さんです。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
それではまた。
のじれいか でした。