【映画】疑いの中で あらすじ・感想 【意外な展開】すぐ泣く男はろくなやつじゃない
「疑いの中で」サスペンス作品です。
原題は「Klec」英語で「cage」日本語では「檻」という意味。
チェコの映画ね。
作品情報・キャスト
公開年度 2019年
上映時間 86分
監督 Jiri Strach
キャスト Jiriina Bohdaová , Krystof Hádek ,Viktor Preiss
あらすじ
老女ガリアは誰からも相手にされず、寂しい時間を過ごしている。
そこに優しげな若い男が、遠縁のショーンを名乗り接近。
寂しいガリアは男を家に入れ、急速に親しくなるものの、
話すうちに何かがおかしいことに気づいて……。
感想
ガリアという女性
弁護士だった夫と死に別れ、娘も亡くした孤独な老女。
郵便配達員と話すのが楽しみで家に上がらないかと誘うけれど断られる。
病院でも話し相手を求めているだけと悟られて、医師から受診を断られてしまいます。
教会で長年奉仕活動をしていたが、馴染みの神父は移動。
新しい神父からは、奉仕は不要と言われてしまう。
ひまで孤独。
誰かの役に立ちたいと願っている、経済的には余裕のある女性です。
ショーンを名乗る男
役者か音楽で一発当てて成功したいと考えているが、何をやっても上手くいかない。
気が弱い癖に、辛抱強くない短期な性格で、カッとなるとすぐに物に当たってしまう。
成功すると言って家を出たものの、生活に困って頻繁に実家に戻ってくるように。
本当は実家に戻りたいが、母親が恋人と同棲しているので、仕方なく部屋を借りています。
特技はいつでも「泣ける」こと。
何かあるたび泣いて物事から逃げようとし、事実それでどうにかなってきた様子。
大家から部屋を出るように言われて、得意の涙を披露して猶予をもらいます。
ただし、どうやら、あちらこちらで泣いているらしく、うんざり顔の大家が泣き顔に見飽きていたとすれば、もう泣きの手は使えそうにありません。
なので、当面の目先の問題は家賃を払うこと。
最近、オーディションを受けて、その結果を待ってもいるところではあります。
男をたやすく信じる女の危うさ
郵便配達から始まり、医者からも蔑ろにされる老婆ガリア。
神父の世話をする役割りに生きがいを感じていたが、
新しい神父はガリアの手助けを求めず、ガリアはがっかりしてしまう。
誰かに頼られたい、何か役に立つことがしたくてたまらない。
そこに俳優の男ジェンダ(ショーン)がガリアに親しげな態度で現れて「久しぶり」と懐かしい話を始めます。
話上手で身の軽い若いショーンを気に入ったガリアは、結局家の中にショーンを入れてしまいます。
でも親戚で話はそれなりに通っているので、ガリアが一方的に愚かだったとは言い切れない展開ではあります。
遠縁という絶妙な存在
ガリアは最初、ショーンが誰かわかりません。
しかしショーンが言葉巧みに話すうち、かつて縁があった家族の一員だと気づきます。
親戚という響きは年齢を重ねた人間にとって、自分のルーツでもある大切な人で、拠り所を求めていたガリアにとってはとても大切な存在に思えたはずです。
ましてガリアは娘も亡くしてしまい、天涯孤独な身。
そんなときに親戚を名乗られれば心が踊ったに違いありません。
原題から見えてくること
ガリアの部屋はアパートの1階。
同じアパートで泥棒が入ったのをきっかけに、窓には柵、玄関には鍵がいくつもかかっている「檻」のような家になったことが語られます。
ガリアの部屋は一人暮らしにしては十分すぎる広さがあり、優雅な住まいですが、窓には柵があって、鍵がないと外に出ることができません。
親戚を名乗る男と、優雅な老女が2人きり。
男は何が目的なのか。
すぐわかりそうなものですが、話はそう簡単には終わりません。
面白かったところ
回想はありますが、途中からほとんど家の中になります。
年齢も育ちもまるで違う2人の男女が交わす言葉や心理戦が一番の見所です。
またそれぞれが置かれた状況や心理状態も丁寧に描かれていると感じました。
男は癖のあるキャラクターが面白い。
賢くないので色々とやらかしてしまうところは、ツッコミ所もあり笑えます。
ガリアのピンチになったときの案外強いところも、女の強さが描かれていると感じました。
こんなときにおすすめしたい映画
・人間の感情のやりとりがある、ヒューマン・サスペンスが観たいとき。
・恋愛ものは抜きにしたい気分のとき。
・シーンがコロコロ変わらない落ち着いた映画が観たいとき。
・ラストでどんでん返しのある話が観たいとき。
それではまた。
のじれいか でした。