のじシネマ

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【映画】金田一耕助の冒険 大林宣彦監督のパロディ映画

4月10日 大林宣彦監督の訃報が流れました。

コマーシャルの制作ディレクターとして活躍した後、映画監督としてポップで独特な作品を数多く世に送り出しました。


若い世代の映画監督のなかには影響を受けた人も多いのでしょう。

ちなみに私は子供の頃『HOUSE』を観て、その発想や映像にぶっ飛んだこと今でも忘れることができません。

 

本作『金田一耕助の冒険』は、大林宣彦監督作品ですが、あの金田一耕助シリーズのおどろおどろしい話ではありません。

金田一耕助の作品をベースにしたパロディ映画です。

面白いのかと聞かれれば、観る人によって評価が大きく異なると思います。

ただ、この機会を逃すと話す機会もないように思えたので、今日は『金田一耕助の冒険』についてお話ししたいと思います。

 

 

 

金田一耕助の冒険』一言でいえばこんな映画

金田一耕助シリーズを元に製作された、

角川映画でつくられた昭和オンパレードなパロディ映画。

 

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金田一耕助の冒険

あらすじ 

 
ときは1979年、現代。
映画と小説で一躍有名になった金田一耕助と相棒の等々力警部。
雑誌の撮影をしているものの、金田一は昔みたいに、おどろおどろしい事件にはもう関われないのだろうと元気がない。

そんな金田一が「病院坂」を歩いていると、窃盗団が現れて金田一は拉致される。
窃盗団のボス、マリアはこれまで金田一がかかわった事件の中で「瞳の中の女」だけが事件が未解決だと訴える。



マリアは事件の重要参考物だった灰田勝彦の作品の石膏像「不二子像」の首を持っているのを見せ、事件を解決しろと金田一に要求する。

 


作品情報


公開年度 1979年
上映時間 113分
監督 大林宣彦
脚本 斎藤耕一
   中野顕彰

脚本の斎藤耕一は監督、写真家でもある方。岸恵子萩原健一主演『約束』の監督など。 中野顕彰はにっかつの脚本から『未来少年コナン』の脚本を手掛けている。すごいメンツです。

 

nojirika.hateblo.jp 

 

キャスト

金田一耕助 古谷一行
等々力警部 田中邦衛

明智文江(骨董店の夫人) 吉田日出子
マリア(窃盗団のボス) 熊谷美由紀

古垣和哉(美術協会会長)中谷昇
明智小十郎(明智美術店店主)東千代之介

 

などなど。。

横溝正史本人も本人役として出演しています。 

 

1979年に登場する金田一耕助

「瞳の中の女」という作品は『金田一耕助の冒険』という短編集に収録されている小説です。

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感想(1件)


内容は完結していない。というか確か犯人が行方不明で解決できない、既に解決していた。といった内容だったと記憶。この短編集は昔読んだのですが、残念ながらうろ覚えです。

そして本作『金田一耕助の冒険』では、映画の中でその「瞳の中の女」を完結させようというのが大筋。

読んでいれば内容を理解しやすいと思います。ただ知らなくても大丈夫です。
 

角川映画のパロディだけではない


パロディというのは覚悟承知して見始めましたが、コマーシャルや流行語など出まくりで正直話が頭に入らないくらいにはっちゃけています。

ストーリーは正直かなり微妙です。
ですが、今観ると話の筋とは全く別の価値があると確信できます。

昭和を知らない世代の方は、当時の空気を楽しめると思います。
また、昭和を知っている方は、思いっきりタイムスリップができること請け合いです。

 
いくつか当時の流行語や映画のパロディが入っているのはわかりましたが、それ以外にもまだまだ盛り込まれていた様子です。

いくつ探し出せるかも楽しみの一つです。

 

出演キャストの多彩さ


とにかくキャストの数が多い。
ほんのワンシーンに有名な俳優が出演しているので驚きます。

当時の角川映画の繁栄ぶりと力強さを示しているようでもありますね。


オープニングとエンディングのほのぼのしたイラストは和田誠

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感想(1件)

角川春樹自身も出演しています。しかもズッコケるシーンがあったりでとにかくギャグにしようとする姿勢がすごい。

けれどもラストは金田一耕助がいい台詞できっちりとシメています。 

 

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コマーシャルの心地よいセンス

当時のトレンドが盛り込まれている映像の中に、CMディレクター出身、若き日の大林宣彦監督ならではの心地よい空気が感じられました。


こういうナンセンスな作品は最近では絶対につくられることはない。
もうスポンサー企業もコンプライアンス重視の考えが定着しているので、こんな自由な映画は現代ではつくれないと思います。

いい時代だったんだなと当時を裏ましくなりながら、大林宣彦監督の世界観に浸れる貴重な作品だと思います。

 

疲れているときに、元気をもらえるかもしれませんよ。 



それでは、最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

のじれいか でした。



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