のじシネマ

映画の感想を書いています。絶望と不条理を映画に求めてしまいがち。ときにネタバレ。

【映画】『ユメ十夜』夏目漱石のうつうつとした夢。読んでから見てほしい、読んで気に入ったなら見ても

こんにちは。

最近、眠れていますか?


今回お話ししようと思うのは『ユメ十夜』。

夏目漱石の小説『夢十夜』の映像化です。

1話ごとを違う監督が手掛けている、オムニバス形式の映画です。

 

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ユメ十夜 

作品情報

 

製作年度 2007年
上映時間 100分

監督 実相寺昭雄(第一夜)市川崑(第二夜)、清水崇(第三夜)、清水厚(第四夜)、豊島圭介(第五夜)、松尾スズキ(第六夜)、天野喜孝(第七夜)、河原真明(第七夜)、山下敦弘(第八夜)、西川美和(第九夜)、山口雄大(第十夜)

市川崑監督の遺作なのね 

 

 

あらすじ・キャスト

 
一体どういった話かというと、夏目漱石が実際に見た夢を小説にしているらしい物語です。

「こんな夢を見た」で始まる原作を各々の監督が解釈して映像にしています。

 

第一夜から第十話まで、夏目漱石本人らしい主人公の見た夢として構成されています。

幻想的で不思議な話で、ホラーのカテゴリにも入っているようですが、ホラーというほどの怖さはありません。

ただ、夢なので取り止めのなさや矛盾もあり、でも一定のルールがあるようでもあり、ある種不気味さのある話ばかりではあります。

 

原作は青空文庫で読むことができます。

夏目漱石 夢十夜

 

 

エピローグ
女子高生(戸田恵梨香)が先生(藤田宗久)に、「ユメ十夜」ついて問う。
わかるのは100年後だろうね、と答える先生。

 

第一夜
男(松尾スズキ)は一緒に暮らしていた女(小泉今日子)から「100年待ってください」といわれる。

 
第二夜
侍になっている自分(うじきつよし)は和尚(中村梅之助)から、悟りを開いていないと言われる。悔しくなった自分は短刀で腹を切るとするが、ユメなので切れないのだった。

第三夜
自分(堀部圭亮)が、6歳になる自分の子供を背負って歩きながら話すうち、だんだん気味が悪くなりどこかに我が子を捨てて逃げようと考えるようになる。 
 

第四夜
自分(山本耕史)は子供の頃、療養していた場所にいる。子供の頃の友人が現れる。


第五夜
自分(市川実日子)は馬に乗って、夫と子供が待つ家に帰り着くが……。 

 
第六夜
自分(阿部サダヲ)は運慶の踊りを見ている。

 

第七夜
自分(sascha・声)が大きな船に乗っている。ただ大きな船に乗っている。

 

第八夜
自分(藤岡弘)は、巨大なミミズを飼いたがっている嫁と孫を通り過ぎて、自分の世界へ浸る。


第九夜
母(緒川たまき)は、戦地に赴く夫が無事に戻るようにと御百度参りをしている。

 

第十夜
庄太郎(松山ケンイチ)は謎の女(本上まなみ)の容姿に惹かれて、誘われるがまま村を後にする。

 

 

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原作を先に読んだほうがよいけれど…… 

 

小説の映画化は普通にやっていることで、多くの場合は読んでから見ても、見てから読んでも、味わえるようになっています。

しかしこの『ユメ十夜』は読んでから見た方がいい。
原作を未読の方は読んでから観ることをおすすめします。

もう少しいえば、原作を読んで気に入って見たとしても、映像の世界観に馴染めるとは限りません。

 

映像化は難しい作品

 

それぞれの監督の解釈で切り替わる100分。

本来は同じ夏目漱石という作家が書いているので一貫性があるはず。
けれど『ユメ十夜』は監督によって解釈が違いすぎることもあって、正直ついていくのが大変でした。


プロローグとエピローグで繋いだことで何とか一本にまとめていますが、正直一貫性はには欠けた作品だと思います。

原作を読んだ方はおわかりと思いますが、この話は幻想的でイマジネーションで楽しむ話。
映像で見せてしまうとイメージが固定されてしまい、夢特有の危うさが半減してしまった気がしました。

 

夏目漱石の小説は魅力的ですが「夢十夜」は、映像にするのは不向きではないかと思います。

 

夢は目覚めると忘れてしまうことが多いけれど、知らない人や知らない場所が出てくこともあるし、それらが現実の知人や家族と入り混じって登場することもある。

そういう不気味さや怪しさの先には、現実を大切に思う気持ちに繋がったり、または現実自体が不確かな存在に思えたりと、思考の中だけで葛藤する「夢の気持ち悪さ」を共感できる部分はあります。

自分の夢の記憶を辿るようにして見るとよいかもしれません。


一生懸命話を追わずにただ眺めているだけで、感じる人は何か感じるかもしれないといった映画でしょうか。

それでは、最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

のじれいか でした。


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